第1節: 基本的な駒の動き

各駒の動き方を詳しく学習します

将棋の駒について

将棋は8種類の駒を使って戦う日本の伝統的なボードゲームです。各駒にはそれぞれ異なる動き方があり、これを覚えることが将棋上達の第一歩です。

駒の動きを正確に理解することで、戦術や戦略を考えることができるようになります。まずは一つ一つの駒の特徴をじっくりと学習しましょう。

初心者の方は、まず王将、飛車、角行の動きから覚えることをお勧めします。これらは将棋の中で最も重要な駒だからです。

王将(玉将)- 将棋で最も大切な駒

王将は8方向に1マスずつ動けます

王将は上下左右と斜めの8方向に、それぞれ1マスずつ動くことができます。

王将は将棋で最も重要な駒です。この駒が取られる(詰まされる)とゲームに負けてしまいます。

王将は攻撃に使うのではなく、常に安全な場所に置いて守ることが基本です。相手から遠く、他の駒に守られた位置に置きましょう。

隣接する8マス(前後左右と斜め)のうち、どこでも1マス動けます。ただし、相手の駒に取られてしまう場所には動けません。

先手(あなたが先に指す場合)は『王』、後手(相手が先に指す場合)は『玉』と表記されますが、動きは全く同じです。

実戦では王将を序盤のうちに安全な場所(通常は端の方)に移動させる『囲い』という戦術を使います。

飛車 - 縦横無尽に動く強力な駒

飛車は縦横に何マスでも動けます

飛車は縦(上下)と横(左右)の方向に、障害物がない限り何マスでも動くことができます。

飛車は将棋で最も強力な駒の一つです。遠くまで動けるため、相手の駒を取ったり、王将を攻撃したりするのに非常に有効です。

縦横の直線上であれば、盤面の端から端まで一気に移動できます。ただし、途中に他の駒がある場合は、その手前までしか動けません。

飛車が相手陣(相手側の3段)に入ると『龍王(りゅうおう)』に成ることができます。龍王になると、元の飛車の動きに加えて、斜めにも1マス動けるようになります。

飛車は『飛車先の歩』という戦術でよく使われます。飛車の前にある歩を進めて、飛車の利きを伸ばす基本的な戦術です。

飛車は強力ですが、同時に相手にとっても脅威なので、取られないよう注意深く使いましょう。

角行 - 斜めに駆ける俊足の駒

角行は斜めに何マスでも動けます

角行は斜めの4方向に、障害物がない限り何マスでも動くことができます。

角行は斜め方向にのみ動けるため、同じ色のマス(白いマスまたは黒いマス)にしか移動できません。これが角行の特徴的な制約です。

右斜め上、左斜め上、右斜め下、左斜め下の4方向に、盤面の端まで移動できます。飛車と同様に、途中に駒がある場合はその手前まで。

角行が相手陣に入ると『龍馬(りゅうめ)』に成ることができます。龍馬になると、元の角行の動きに加えて、縦横にも1マス動けるようになります。

角行は対角線上の相手の駒を狙うのに適しています。特に相手の王将が角行の利きの延長線上にある時は大きな脅威となります。

角行は同じ色のマスしか移動できないため、その制約を理解して使うことが重要です。

角行と飛車は『大駒』と呼ばれ、将棋で最も価値の高い駒です。これらを有効活用することが勝利への鍵となります。

金将 - バランスの取れた守備の要

金将は前・横・斜め前・後ろに1マスずつ動けます(斜め後ろは除く)

金将は前・後ろ・左・右・斜め前(左右)の6方向に1マスずつ動けます。斜め後ろには動けません。

金将は攻撃にも守備にも使える、バランスの取れた駒です。特に王将の守りに重要な役割を果たします。

前方3方向(前、斜め前左、斜め前右)、横2方向(左、右)、後ろ1方向の計6方向に動けます。

金将は最初から完成された駒のため、成ることができません。これは金将の特徴の一つです。

金将は『金の守り』と呼ばれるように、王将を守る囲いでよく使われます。堅実で信頼できる駒です。

金将は中程度の価値を持つ駒で、序盤から終盤まで安定して活躍できます。

金将は王将のそばに置いて守備に使うのが基本ですが、終盤では攻撃にも参加させることができます。

銀将 - 攻撃的な斜め移動の専門家

銀将は前・斜め前・斜め後ろに1マスずつ動けます(横・真後ろは除く)

銀将は前・斜め前(左右)・斜め後ろ(左右)の5方向に1マスずつ動けます。真横と真後ろには動けません。

銀将は攻撃的な性格を持つ駒で、前方への進出に優れています。金将と比べて攻撃向きの駒です。

前1方向、斜め前2方向、斜め後ろ2方向の計5方向に動けます。真横と真後ろは動けないのが特徴です。

銀将が相手陣に入ると『成銀』になります。成銀は金将と同じ動きができるようになります。

銀将は『銀の攻め』という言葉があるように、攻撃の先鋒として使われることが多い駒です。

銀将の弱点は真横と真後ろに動けないことです。この特性を理解して使うことが重要です。

銀将は棒銀戦法など、攻撃的な戦術で主役を演じます。前進させる時は退路を確保することを忘れずに。

桂馬 - 独特のL字型移動をする忍者のような駒

桂馬は前に2マス、左右に1マスのL字型に動けます

桂馬は現在の位置から前に2マス、その後左右どちらかに1マス移動する、L字型の動きをします。

桂馬は将棋の駒の中で最も独特な動きをします。他の駒のように直線的ではなく、L字型に『跳ねる』ように移動します。

桂馬の最大の特徴は、他の駒を『飛び越える』ことができることです。途中に駒があっても、目的地に駒がなければ移動できます。

前方2マス進んでから左右どちらかに1マス曲がる動きです。具体的には、右桂跳ねと左桂跳ねの2つの動き方があります。

桂馬が相手陣に入ると『成桂』になり、金将と同じ動きができるようになります。

桂馬は前方にしか移動できず、後ろや横には全く動けません。また、端の列では動きが制限されます。

桂馬は『桂馬の高跳び歩の餌食』という格言があるように、使い方を間違えると取られやすい駒でもあります。

桂馬は相手の意表を突く奇襲攻撃に適しています。他の駒では行けない場所に移動できるのが桂馬の魅力です。

香車 - 前方一直線の突撃専門駒

香車は前方に何マスでも動けます

香車は前方(自分の陣地から相手の陣地方向)にのみ、障害物がない限り何マスでも動けます。

香車は『やり』のような駒で、真っ直ぐ前にだけ進むことができます。後ろや横には全く動けない、非常に特徴的な駒です。

自分の前方向にのみ、盤面の端まで一直線に進むことができます。途中に他の駒があると、その手前までしか動けません。

香車が相手陣に入ると『成香』になり、金将と同じ動きができるようになります。成ることで大幅に機動力が向上します。

香車の最大の制約は、前方にしか動けないことです。一度前進すると、基本的には後戻りできません。

香車は『端攻め』という戦術で重要な役割を果たします。盤面の端から相手陣に突入する攻撃の先鋒となります。

終盤では、香車の『と金』への成り込みが勝敗を決することもある重要な駒です。

香車は序盤では使いにくい駒ですが、適切なタイミングで前進させることで、相手に大きなプレッシャーを与えることができます。

歩兵 - 数は多いが侮れない前線の兵士

歩兵は前方に1マスだけ動けます

歩兵は前方に1マスだけ動くことができます。後ろや横、斜めには動けません。

歩兵は各プレイヤーが9枚持っている、最も数の多い駒です。一見弱そうに見えますが、実は将棋において非常に重要な役割を果たします。

真前に1マスずつしか進めません。他の駒のように複数マス移動したり、後退したりすることはできません。

歩兵が相手陣に入ると『と金』になります。と金は金将と同じ動きができるため、歩兵としては大幅な戦力アップとなります。

同じ縦の列(筋)に、自分の歩兵を2枚以上置くことはできません。これを『二歩(にふ)』といい、反則となります。

歩兵は『歩の無い将棋は負け将棋』という格言があるほど重要です。攻撃の足がかりや守備の要として活躍します。

『歩突き』や『継ぎ歩』など、歩兵を使った高度な戦術も存在します。

歩兵は弱い駒のように見えますが、と金に成ることで金将級の働きをします。積極的に前進させて成り込みを狙いましょう。

実践で駒の動きを覚えよう

駒の動きを覚えたら、実際の将棋ゲームで練習してみましょう。ゲーム中にヒント機能を使うことで、どの駒がどこに動けるかを確認できます。

最初は全ての駒の動きを覚えるのは難しいかもしれません。まずは王将、飛車、角行、金将、銀将の5つの駒から始めて、徐々に慣れていきましょう。

駒の動きは繰り返し練習することで自然に身につきます。焦らずに、一つ一つ確実に覚えていくことが大切です。